『━━━━━ドゴォオンッ!!………ガスッ!!!』 大きな足が壊れた壁の窪みに引っ掛かっても、足は力任せにそれを破壊し突き進む。 停止という単語を知らないかのように、牢獄を破壊しながら3人を追いかけてくる。 相手の足のサイズを見ただけでもわかる。…自分達を追いかけている相手は相当巨大な者だ。 それゆえに…、歩行スピードも違えば走行スピード、そして飛行スピードも何もかもが違いすぎる。 どんなに走っても、どんなに逃げてもその距離は遠くなることなく、 寧ろ…反対に距離はどんどん詰められていく…。 『ろうごく』 『バコォォンッ………ズズズズズッ…!!!!』 「畜生っ!!こ…こいつ、牢獄の壁を強引に破壊しながら追いかけてきやがるっ!!!」 暗い牢獄の中。…鉄格子と鉄格子の間を一生懸命に走りながら井守が叫んだ。 3人とも長い髪を乱し、息を切らし…必死になって走り続ける。 背後の暗闇から迫ってくる、とてつもなく大きな恐怖から逃げようと走るも、離れることは出来ない。 3人は、喰われるか否かのギリギリとところで逃げ続けている。 長く走り続けているため、喉に痛みが現れはじめ、身体も熱くなってきている。 激しい運動をすれば身体が熱くなるのは、身体の構造を考えると当然のことではあるが、 今自分達に起こっている身体の変化は…、どれもこれも、快いものではない。 限界だ。限界に近付いてきているのだ。…身体に痛みを覚え始めた3人が、顔をしかめる。 巨大な足が、敵が迫ってくる。 姿が完全に見えないがゆえに、正体のわからない敵を前に…逃げることしか出来ない。 …そんな中、大聖だけがときどき背後の方に振り返っていた。 暗いということもあり、相手がどんな形をして、どんな色をしているのかを完全には窺うことは出来ない。 ただ、大聖が目にした足の形状と色には…、見覚えがあった。 ━━━━━この足はおそらく、あの翼竜のものだ。 ━━━━━こいつは、なぜこんなに執念深く、自分達を追ってくるのだろうか。 …走っても走っても逃げられない、キリがない。 逃げ続けていることに限界を感じたのか、井守が口を開く。 「なぁ!!2人とも!!このまま逃げ続ける気か!!?」 「しかし、戦うにはここは狭すぎる!!せめて、もう少し広い場所に出よう!!」 逃げ続けることにもう耐えられんと井守が叫ぶと、宮守が前を向いたまま声だけで返した。 戦闘の経験が豊富な宮守が言うだけに、反対のそれの経験が少ない井守は反論がしづらくなる。 経験の量が多ければ多いほど、説得力も増すからだった。 宮守の台詞を聞き、井守も「くそっ!!」と叫んで走り続けることにした。 そんな中、大聖は走りながらも考えていた。 なんとか逃げ続けている今でさえ、ギリギリの状態だ。 このままずっと逃げ続けることは出来ない。 …相手が諦めるか、それとも自分達が打ち勝つか。そのニ者択一。 一歩振り向くと直後に食われてしまいそうな今の状況の打開策を見い出そうとする。 ………やはり、この巨大な翼竜とは戦うしかない。 目をつけられた以上、この世界にいる限りは自分達はこの翼竜からは逃れやしない。 「………なら、いっそのころ戦って追い返してやれ。」 「大聖?」 今の状況が、自分達にとっていかに不利なのかはもうわかっている。 万全な状態は自分で造り出すことも出来るが、その“時”は、 準備が万全なときに来るとは限らない。 大聖が小さく呟くと、宮守が少し驚いた顔をする。 「あぁ、いずれはそうするべきだろう。ただ…、ここでは不利だ。  早くこの牢獄の外に出て、安全な場所で━━━━━。」 「いや、宮守。大丈夫だ。」 「…どういうことだ?」 小さく呟くと、大聖は逃げるのをやめて立ち止まる。 そんな大聖につられるように、宮守と井守も走るのをやめた。 大聖は、先に自分の武器である如意金箍棒を構える。 「…こういうだろう?いつまでも逃げてばかりでは、何の変化も起こりはしない、と。」 両手に如意棒を持ち、自分の意思を武器に与え、棒の先を槍のように尖らせる。 そうしている間も、巨大な足は3人に迫る。 3人がその場で立ち止まっていることに気付けば、巨大な足は前進をやめ、 代わりに巨大な口で壁ごと食いつくして破壊する。 人の1人や2人なら、あっという間に食べてしまいそうなくらいの大きな口が見えた直後、 大聖は棒の構え方を変えて、スポーツでいう高跳びの際に用いる槍を持つような手つきにする。 巨大な足はピタリと止まり、…自分達が見た翼竜の大きな口が現れると、 「━━━━━お前はっ!!!これでもっ!!!!食ってろっ!!!!!」 『━━━━━ザシュッ!!!!!』 「━━━━━っっ!!!!!!」 翼竜の口の中に自ら飛び込み、その大きな舌の先端に先を尖らせた棒を思いっきり突き刺した。 すると、自分の舌に刃を突き刺された翼竜は、その苦痛と刺激に溜まらず大聖を放り出す。 舌の先端から鮮血が吹き出し、翼竜が暴れると牢獄の壁や鉄格子に付着する。 大ダメージまではいかなくとも、怯ませる程度の効果は発揮した。 大聖の行動を見た宮守が、閃いた顔をする。 「そうか!そういうことか!!舌の先は神経が敏感で、  ちょっとした痛みでも感じやすい!!それを利用したんだな!!?」 「あぁ、そういうことだ。あんな太い足、棒や剣で攻撃してもダメージなんて通らないと思ってな。」 「へぇ、おまえも柔らかくなったじゃないか。これは一本取られたな。」 …立ち止まり口を見せてから喰われるまでの間を狙えば、動きを止めることが出来るということを思いついた。 大聖のその一瞬の閃きに、宮守が感嘆の声をあげた。 …普通に殴ったり斬ったりすることが駄目だというなら、敏感な場所を狙って攻撃するというのが有効か。 大聖の一撃で可能性を見つけた宮守と井守も、剣を構えた。 2人で剣を構えると、宮守が井守の指示を与える。 「井守、大聖に続け!おまえのその剣を、やつの口に突き刺すんだ!一緒に行くぞ!」 「………了解!あんたを信じるぜっ!!」 宮守が剣を持っていない方の手で井守の背中を掴むと、井守も腹をくくったという笑みを浮かべた。 井守の様子に宮守もニッと笑みを見せると、そのまま井守と共に翼竜の口へと走っていく。 大聖が与えた攻撃による痛みに怯んだその隙に、口が閉じる前に飛び込んでいく。 宮守が井守を掴んだまま猛スピードで走り、口が閉じられようとしたその中へと入り込む。 「宮守っ!!!井守っ!!!」 2人のその行動に驚愕の声をあげるも、大聖はハッとして首を左右に振る。 如意棒の先端には、翼竜の血がついていた。それは、翼竜に確かな攻撃は加えられたという証。 この如意棒が、翼竜にとっては癪に障ったらしく、ギロリと大聖を睨む。 宮守を井守が口の中へと入った状態で、顎を地に付かせている翼竜が、 大口を開けて大きく息を吸い込もうとするも、 ………どういうわけか、そこで動きがピタリと止まった。 「………なんだ?」 その変化の意味は、大聖にはわからなかった。 翼竜は、大口を開けたまま硬直してしまっている。 それで、数秒程経つと…開かれた口はパタリ、と閉じられた。 「なっ…!お、おいっ!一体なんなんだ!宮守、井守!無事なのか!?」 まさか、そのまま完全に食べられてしまったのか。 大聖が焦燥の様子で翼竜の口をこじ開けようと、上唇の辺りを抱え持ち上げようとする。 なんとか力を入れると、数十センチ程の隙間が出来、中の様子を少しくらいは窺えるようにはなった。 大聖は、そこから内部の様子を覗き込む。 翼竜の口の中は、舌の先から出続けている血で満たされていた。 「宮守!!井守!!そんな…!!!」 大聖がショックを受けていると、 「馬鹿。何勝手に食われたことにしている。」 翼竜の口の隙間から、井守の者と思われる腕と剣が見え、宮守の声も一緒に聞こえた。 上唇を抱えたまま様子を見ると、口の狭い隙間から井守と宮守が顔を出す。 2人が無事だったことに気付き、大聖が安堵しつつも大きな隙間を作ろうと両手で上唇を持ち上げる。 大聖がそうしてくれたおかげで、井守と宮守も完全に脱出することが出来た。 2人の脱出を確認し、翼竜の上唇かた手を離すと…そのまま静かに口を閉じられた。 翼竜は…元気を無くし、ぐったりしていた。 この様子の変化を見て、大聖は困惑する。 「お前達、…一体この翼竜に何をしたんだ?」 「お?へへっ、なぁに、簡単なことよ。」 大聖が首を傾げながら問うと、身体の一部が血に塗れた状態で井守が笑って答えた。 すると、右手に持っている剣を得意げな様子で掲げる。 「この剣にな、毒を仕込んだだけだ。」 「………毒?」 井守のその台詞に、大聖は少し困惑する。 毒…?井守のような少年が、一体どこでそんなものを? それに、剣に仕込んだと言っても、一体どうやって…。 いや…、その前に井守が持っている剣というのは…。 大聖がそう考えていると…。 「あん?この剣に見覚えねぇの?この剣、倭国であんたとエアリーがくれたやつだよ。  なんでも、あんたが宮守を倒すためにエアリーに造らせたらしいけどな。」 「あのときの、………十拳剣を?お前が?」 「おうよ。あんだよ、あんた忘れちまったのか?  宮守を止めた後、あんたとエアリーがおれにくれたじゃねぇか。」 「………。」 ………あのとき、俺がエアリーに造らせた剣を、井守が受け継いだのか………。 そう言われて、大聖も井守が持つ剣をジロジロと眺めた。 翼竜の身体のどこかに突き刺したと思われる血がついていることを除けば、 その剣は…、確かにあのときと同じ形に、同じ模様をしていた。 ━━━━━十拳剣。それは、大昔に…大蛇を倒した際に使われたという剣。 井守が持っているのは本物ではないが、その本物はもう…この世には存在しない物と言われている。 以前、倭国で暴れている大蛇を止めるにあたって、 この剣が必要だということから、大聖はエアリーにそれを模った物を造らせたのだった。 その剣が、今は………井守の手の中に。 井守が両手を腰に当て、少しムッとして話すのを聞き、大聖はそのときのことを想い浮かべる。 「………そうか。」 感慨深そうに呟くと、目を閉じて俯く。 しかし、その口元は笑っていた。 「━━━━━………あのときから、それだけの月日が流れたのか。」 「あぁ、そうだ。」 再び目を開け、昔は敵として…だが今は仲間として共にいる宮守と井守を見る。 大聖が小さく呟けば、宮守と井守も笑った。 大聖と宮守が懐かしそうにしているその隣で、井守が剣を『ブンッ!!』と真横に振り回す。 井守が剣を振るえば、剣に付着した血に混ざって、無色透明な液も飛んでいることに気付く。 それを見て、大聖がふと思い出して2人に聞く。 「…で、井守のいう毒というのは?造られた剣に、もともと毒なんてものはなかったはずだ。」 「あん?あぁ、大聖は知らなかったっけ?」 大聖が少し顔をしかめて聞くと、井守が剣を降ろして大聖の方を向く。 すると、剣を持っていないもう片方の手の先を大聖に見せる。 井守が手の先を見せると、宮守が引き継ぐ形で説明する。 「井守は、こう見えて毒を持っている。ほら、増足人の元は蛙やイモリだろう。  彼等の中には食物から得た毒を体内に溜め込む機能を持っている。井守は、その特徴を引き継いでるんだ。」 「…?ということは、井守は自分の体内の毒をその剣に仕込ませたということか?」 「その通りよ。これなら自分より上位の種族に立ち向かうことが出来らぁ。  おれは宮守や大聖みたく力押しは出来ねぇから、こういう戦法で戦おうって決めたんだ。」 「一言でいうと“嫌らしい”か。」 「訂正!そこはせめて“嫌がらせ”だろ?そんな言い方、卑しいと間違われっちまうじゃん。」 「戦いの話においての流れで、そちらの意味だと思う者はそういないと思うんだが…。  しかし、毒がある分上位に種族もうかつに食えない、ということだな?」 「毒に免疫のねぇやつなら、コロリだよ。今のこの竜みたいにさ。」 宮守の説明を聞き、大聖が井守に問うと井守も大きく頷いた。 毒に抵抗のないものなら…自分より上位の者でもこうなる。 それを実際にこの目で見ることにより、井守もそれなりの自信がついている様子だ。 大聖の言葉に、剣を持ったまま両腕を頭の後ろに回し組みながらそう言った。 …井守がそう言った直後、壊れた牢獄に液体のようなものが染み込んできた。 それを見た3人は、キッと睨み、今度は何が来るのかと各自武器を構える。 …突然流れてきた液体は、酒臭かった。その酒臭さは…3人には覚えがあった。 牢獄の床、その一定の場所に酒が集まってきたかと思うと、 やがてそれは人の形を模り、3人にとって見覚えのある姿となる。 酒の誰かが見せたその姿に、3人は驚く。 「…ソマ!?」 「あら、ごきげんよう。」 流れてきた酒は、神の酒だった。 それを身体とするソマが姿を現し、大聖が声を上げる。 ソマがこの場に姿を現すなり、井守が剣を構えて斬りかかろうとするが、 ソマは片手を振って「ノンノン。」と言って井守を止める。 「そう喧嘩を売らないの。あたしは、あんた達には直接的な用はないわ。  あたしはこの竜が今どこで何をしてるのか、それが気になってここに来たのに。」 「…何?おまえ、この竜のことを知ってるのか?」 「知ってるも何も、こいつはねぇ…。…ってちょっと。  その前に、宮殿で誰があんた達を逃がしたんだっけ?」 「…!…ったく、どうする。こいつを信用していいのか?」 ソマが仏頂面で言うと、宮守が首を傾げた。 その宮守の台詞に対しての台詞に、井守が嫌そうな顔をする。 井守の子供らしい、素直なのだが正直な態度にソマは苦笑いを浮かべる。 井守とソマの険悪なムードを和らげるように、大きな溜息をついて大聖が口を開く。 「おい、井守。その…気持ちはわからなくともないが、  俺達がここにいるのはある意味ソマのおかげなんだぞ?」 「ある意味が余計よ、ある意味が。あんたも案外素直じゃないのねぇ。」 「そうだな。まぁ…助けてくれたうえに神酒もくれたから、御礼を言うとしよう。」 「あんたらねぇ…。」 大聖や宮守の言うことに、ソマは呆れた様子で溜息をつく。 溜息をついてから、動かなくなった翼竜の方をチラリ、と見る。 ソマがその方向を向くと、大聖も一歩前に出てソマに問う。 「ところで、この翼竜は一体なんなんだ?」 「あぁ、こいつね。今となっては教えてあげてもいいわ。  結構話が長くなるけど、………いいかしら?」 「あぁ、構わない。」 ソマが目を細めて確認するように問うと、それに対し大聖も頷く。 了解を出したのを見て、ソマが翼竜の方を見ながら説明し出した━━━━━。 この竜は、大昔からこの幻想世界に住んでる魔竜よ。 竜は、自分が生きるために沢山の人々の命を食べることで、ようやく生きられるだけの力を補給出来るの。 どんな種族、どんな生物よりも巨大な生命を持つこいつらは…ケタが違うわ。 こいつは昔から変わらないわ。この暗い街や世界を飛び回っては、 目に映った人や生物、怪物や神を無差別に食べようとするの。 その暴食っぷりから、生きるためとはいえ殺し過ぎだっていろんなやつらに言われた時期もあってね…。 過去に沢山いた竜の中でも、特にこいつは問題児扱いされてたわ。神様達からね…。 早い話、あたしはこの竜の監視役を任されてさぁ。 ま、それと引き換えの…今の楽な暮らしなんだけどさ。 で、なんでそんなあたしが外に出てるのかって言うと、 監視用に使う水晶玉を、あんた達と会うそのちょっと前に壊されちゃったからなの。…こいつに。 こいつが暴れるようなら神酒で眠らせて拘束、この牢獄の中に連れてきて投獄するの。 とはいってもあたし1人じゃこいつを閉じ込めることは出来ない。 なら、何か術を使って封印するべきなんじゃないのって話だけど、 こいつも…神の連中の術に対して高い耐性持っちゃってるから、それも出来やしない。 更に、神の術だけじゃなく神酒にも抵抗が付いてきてるのか、飲んでもなかなか酔わない。 あたしも、正直こいつに手を焼き始めてるわ。 ある神様が力づくでこいつを投獄した時期もあったんだけど、 あのじいさんは今どこで何をしてるのやら…。 「この竜の名前はドリソン。夜の時間になれば、暗闇から突然現れて大暴れする。  だから、幻想世界の人々は夜の外出は控えてるの。  あんた達が人を見かけないってのは、皆こいつを懸念してのこと。  それでも、昼間の出てくる人々もごく少数よ。だって、この世界の人々は皆━━━━━。」 「成程、そういうことだったのか…。それで、この世界には今誰1人と外に出てないんだな。」 「ん?…じゃあ、こいつさえなんとかすりゃあ、この世界も落ち着くってことか?」 「それが本望なんだけどねー。ただ、こいつがこうやって動き出したのは結構最近の話。  以前はここに投獄されてたんだけどなー、男の人の姿で。」 「男の人の姿…?」 「それは夜が明けたらわかるわ。とりあえず、夜のうちはこいつに喧嘩なんか売らないこと、絶対に。」 ソマの話を聞くことで、この世界の状況をようやく掴むことが出来た。 ならば、大聖が見た黒い炎は、間違いなくこの魔竜…ドリソンが起こしたモノに違いない。 納得した様子の宮守、怪訝そうな顔をしている大聖と井守を見ながら、 宮殿で出会ったときの様子とは違った様子で、ソマは話し続ける。 「この竜をなんとかしたいなら、夜が明けてからの方がいいわ。  こいつは暗い場所で本力を発揮する、竜の中でも化け物じみてるから。  なんとかするなら、明るいうちに戦うのがベストよ。ただ…。」 「ただ…?どうした?」 「こいつが脱獄したなら、あのじいさんだってここに来てもおかしくないはずだけど。」 「じいさん?それは一体誰のことなんだ?」 「ん?バイメンって神様よ。こいつ…ドリソンのことは、あたしもバイメンも警戒してるの。  でも、バイメンはバイメンで、なんか思い詰めた顔してどっかに行っちゃったのよね…。  …帰ってきてもらわないと、こいつを押さえられないわ。」 「…何?バイメン!?それってまさか━━━━━。」 ソマがとても困った顔をして話すのを聞き、大聖も驚いた顔をする。 バイメン…。この名前は、自分を神様にしてくれた者の名前を同じもの…。 ソマと話していると、時間が次第に過ぎていき、牢獄の柱の隙間から光が差し込んでくる。 それが、夜が明け始めているという証。 朝の陽ざしを浴びたドリソンの姿は見る見る変わっていき、 3人を追いかけていた魔竜のときとは比べ物にならないくらいに小さくなっていく。 『シュウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ………。』 太陽光により、魔竜の身体を作っていた力が抜け…、 やがて、うつ伏せになっている男性の姿が現れた━━━━━。 『G-07 しょうたい』へ続く。